ストレス社会といわれる現代において「しっかりと眠り、明日への活力とする」習慣は重要なポイントです。

そこで今回は、快眠セラピスト・睡眠環境プランナーの三橋美穂さんに、快適に眠るための環境や生活習慣について聞いてみました。

快眠セラピスト・睡眠環境プランナー

三橋美穂さん

寝具メーカーの研究開発部長を経て独立。これまでに1万人以上の眠りの悩みを解決してきており、とくに枕は頭を触っただけで、どんな枕が合うかわかるほど精通。全国での講演や執筆活動のほか、寝具や快眠グッズのプロデュース、ホテルの客室コーディネートなども手がける。著書に『眠りのさじ加減 65歳からのやさしい睡眠法』(青志社)ほか多数。

公式サイト

 

そもそも「快眠」とは?

まずは「快眠」とはどんな状態なのか考えてみましょう。

快眠に似た言葉に「安眠」があります。
三橋さんによると、次のような違いといいます。

安眠:1日の疲れを取り、体力のマイナス状態をゼロに戻すための睡眠。
快眠:明日への活力を得るために、体力のマイナス状態をプラスにするための睡眠。

つまり快眠とは、明日また活動的になるために、自分から意識して快適に眠る行動を指しています。

快眠することができる 寝室環境

温度: 夏は28℃以下、冬は18℃以上 エアコンや寝具で温度調節
湿度:50~60%を維持
音:40dB(図書館レベル)以下
明るさ:すべての照明を消し、できる限り暗く

自分に合った寝具選び

まくら

仰向けの状態でも、なるべく立っている姿と同じ首の角度をキープできるよう、首とマットレスの隙間を埋める高さのものを選びましょう。

首とマットレスの隙間を埋める高さの枕が理想です。

枕を当てて寝ている姿を横からスマホで撮影し縦にして見たとき、立っている姿に近い姿に見えるものが自分に合った枕の高さです。

マットレス

硬すぎると筋肉がほぐれず、柔らかすぎると腰が落ちる不自然な寝姿になります。
表面は柔らかく、土台はしっかりとした硬さのあるものを選びましょう。
がっしりした体格の人は硬めを、スリムな体格の人は柔らかめを選ぶとよいでしょう。

 

【睡眠Q&A】三橋先生が、スマイリング読者の皆さんからいただいた「眠りに関する悩み」に答えます!

お悩み①:朝なかなか起きることができません…。(40代女性)

朝すっきりと起きるためには、体内時計を整える必要があります。
夜更かしや週末の朝寝坊など、不規則な生活習慣を見直すことから始めましょう。

平日はなるべく同じ時間に寝て起きること。
休日にたくさん寝たい場合には1時間早く寝て、1時間遅く起きるなどして、なるべく就寝・起床時間をずらさないようにしてください。

また、起きたらまず青空を見上げて体内時計をリセットする、朝食をしっかり食べる、日中は30分以上日光を浴びるなど、体内時計を整えるには朝や昼間の習慣も大切です。

 

お悩み②:眠りが浅く、夜に何度も目覚めてしまいます…。(30代女性)

眠りを浅くする要素には、次のようなものがあります。

アルコール 
リラックスして眠りやすくなる反面、交感神経を刺激するために脳が休まらず、また利尿作用があるのでトイレに起きて目が覚めやすくなります。

夜食
内臓温度が上がるため、アルコール同様に交感神経を刺激してしまいます。

タバコ、カフェイン
タバコの覚醒作用は2時間以上、カフェインの覚醒作用は4~7時間ほど続きます。

これら嗜好品を、完全に控えるべきというわけではありません。
摂取量に気を配る、眠る直前の摂取を控えるなどの意識を持つことが大切です。

 

お悩み③:寝つきが悪く、なかなか眠ることができません。(40代男性)

朝食を取らない、夕方以降にうたた寝する、寝床でスマホを見る、就寝前に嗜好品を摂るなど、まずは快眠を阻害する悪習を改めることが一番です。

睡眠導入アプリの活用もおすすめです。

またリラックスをするために、以下のような呼吸法を試すのも効果的です。
「100…99…98…97…」と、3秒でひとつくらいのペースで数えていき、いくつ数えていたかわからなくなったら100に戻ります。

数字を数えることに集中していると、頭の中の考え事が鎮まって、いつのまにか眠ってしまいます。

お悩み④:寝ても疲れが取れず、昼間に眠くなってしまいます…。(40代男性)

多くの人のベストな睡眠時間は7時間前後。まずはできる限り睡眠時間を確保できるように調整しましょう。

また体に力が入った状態のため、血液やリンパの流れが妨げられていることもあります。
敷き寝具のお尻の部分がへたっていないかをチェックしてください。

その他、寝る1、2時間前に38-40℃の温めのお風呂に浸かる、アロマ・音楽・ストレッチなどで心を落ち着けるなど、自分なりのリラックス習慣を試してみましょう。

また昼間にどうしても眠いときには、夕方前ならば15分(高齢者なら30分)程度の昼寝をするのもおす
すめ。頭がすっきりして、その後の眠気を抑える効果が期待できます。

 

引用元:情報誌スマイリング2023年冬号

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